健康

【歯科専門医監修】【体験レポート】愛犬の歯周病を治療しました!

6歳になったうちの犬、なんだかお口が臭うような……。そういえば、昔は真面目にやっていたオーラルケアも、最近は怠りがち。歯石も溜まっているみたいだし、思い切って、動物病院で歯を診てもらおう! そこで、今回は愛犬とともに、「とだ動物病院 東京犬猫歯科」で歯科治療を受けて来ました!

戸田功先生

獣医師、とだ動物病院 東京犬猫歯科(東京都江東区)院長、日本臨床獣医学フォーラム幹事。診察のかたわら、獣医向け専門誌に歯科学関連記事を発表。獣医師向け、動物看護士向け、一般向けの講演なども多数行い、正しい歯科医療知識の普及に努める。

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6歳になったうちの犬、なんと歯周病でした!

先生:「こんにちは、アニィちゃん」

ライター:私の愛犬・アニィを明るく迎えてくださった戸田先生。早速質問してみます。
うちの子、最近ちょっとお口が臭うのですが……。でも、犬歯のあたりはそんなに汚れてない気がするんです。

先生:「どれどれ、ちょっと診察してみましょうか。まずは体重を量って、それからお口の中を見ましょうね」

先生:「実は歯垢って、歯と歯肉の間にたまるから、飼い主様からはちょっと見えにくいんです。うーんアニィちゃん、結構歯垢が付いちゃってますね」

ライター:………最近、歯みがきを怠りがちではあったのですが……こんなにびっしり歯垢が付いているなんて!

先生:「ブラックライトを当てると、どこに悪玉菌が付いているかもわかるんですよ」

先生:「ブラックライトが当たっているところのうち、ピンクに光っている場所(赤丸で囲っているところ)があるでしょう? これは全部、歯周病菌を含む歯垢です。」

ライター:歯周病って、人間だけかと思っていました。犬にもあるとは……!

先生:「犬や猫にも歯周病はありますよ。来院される犬のおよそ8割、猫のおよそ5割は、なんらかの歯科的疾患を抱えていますね」

ライター:犬の歯周病とはどのようなものなのでしょうか?

先生:「歯周病とは、歯の周りの歯肉が炎症を起こし、さらには歯周病菌などの悪玉菌によって顎骨が腐って溶けてしまう細菌感染症です。歯の上に歯石があるだけでは病気ではないんです。逆に、歯が汚れていなくても、歯周病は見えない顎の中の歯周ポケットの中で進行してしまうので、きちんと治療しないと顎が腐り続けてしまうんです」

ライター:顎が腐る……!

先生:「そうなんです。歯周病は、歯そのものの病気ではなく、歯を支える歯肉や骨といった歯周組織の病気です。歯周病が進行すると、歯がぐらついたり、抜けたりするだけではなく、歯周病菌や菌から出る悪い物質によって腎臓や肝臓、心臓などに悪影響が及ぶこともあるため、決して軽く考えてはいけません」

ライター:そうだったんですね……!
うちのアニィの歯周病は、重いのでしょうか?

先生:「歯周病は、大まかに、以下の4段階に分けられます。アニィちゃんは、恐らく、初期段階の歯肉炎か、軽度歯周炎あたりでしょう」

ライター:このまま進行すると歯だけではなく、体全体に悪影響が及んでしまうんですね。それなら、すぐに治療をしたいです! 治療方法には、どのようなものがあるのでしょうか?

先生:「はい、麻酔をかけたうえで、専門的な口腔内検査(プロービング、歯科X線検査など)の結果に基づいて、プロフェッショナルなクリーニング、歯周外科処置(歯周ポケットを治す処置)、抜歯などの適切な処置を行います。特に、歯周ポケットの再生処置は、専門的な歯科処置でしかできません」

無麻酔の治療はワンちゃんのトラウマになってしまうことも

ライター:麻酔はちょっと怖いなあ……と思ってしまうのですが、やはり麻酔をかけないといけないものでしょうか?

先生:「はい、無麻酔ですと、歯周ポケットの中の歯垢や歯石は取れないので、歯周病の治療とはいえないのです。また、無麻酔でスケーリング(歯石取り)を行うと、ワンちゃんに恐怖心が芽生えてしまうことがあるんですね。そうすると口を触られることを過剰に嫌がるようになってしまい、その後の歯みがきなどのデンタルケアが難しくなる場合もあります」

ライター:そうなんですね……。麻酔をかけても、大丈夫なものでしょうか。

先生:「100%安全な麻酔はありません。しかし、リスクを可能な限り低減することは、もちろんできます。当院では、できるだけ安全に行うために、年齢や身体の状態に応じて血液検査やX線検査、超音波検査を行ったうえで、そのワンちゃんの体に負担をかけない麻酔を選択し管理していきます。口や体が動かない程度の浅い麻酔や鎮静剤です。また、麻酔が怖いからといって、正しい治療を受けないと、加速度的に歯周病は悪化してしまいます。できるだけ早期に、歯周病が軽度のうちに予防的に治療したほうがワンちゃんにとっても、飼い主様にとっても負担になりません」

ライター:麻酔を怖がって治療しないよりも、きちんと根本から歯周病を治したほうが、アニィも幸せですよね……。

先生:「はい、顎が腐ってしまってからでは、治療をしても元通りには治せません。さらに進むと顎が折れたり、鼻に膿が溜まってしまったりします」

ライター:わかりました! では、歯科治療をしたいと思います!

麻酔前検査を行ってから、いよいよ手術です!

先生:「10歳未満で健康なアニィちゃんなら、術前検査は手術前で大丈夫です。10歳以上のワンちゃんや、状態に不安がある場合は、歯科処置日より3~14日前にご予約を入れていただいて、6時間以上の絶食のうえで連れてきていただきます。お水は飲んでいただいて大丈夫です」

ライター:アニィは歯科処置当日に術前検査をすることにしました。
処置当日の12時間前から絶食なので、前日の夜9時から食べずにその日を迎えたアニィ。
朝9時にとだ動物病院 東京犬猫歯科に伺いました。

まずは前日の様子などを戸田先生に報告し、触診などの後、私はアニィをとだ動物病院 東京犬猫歯科に託して帰宅しました。

術前の血液検査の様子です。やさしい先生、スタッフの皆様のおかげで、アニィもリラックスできているようです。

麻酔をかけているところです。

歯の表側だけではなく、裏側まで歯垢や歯石がびっしり……!

歯のレントゲン写真を撮り、歯周ポケットの有無などを丁寧に調べます。

歯周ポケットの中を丁寧にお掃除していきます。

歯を丁寧にスケーリングします

常に心電図などのチェックが行われます

歯の裏側もしっかりスケーリングします。

歯の表面をポリッシングします。

すっかりキレイになりました!

「麻酔から覚めましたよ」と連絡を受けてお迎えに行ったところ、アニィはいつも通り元気でした!
歯もピカピカで、お口も臭くありません!

先生から、今回の歯科処置について説明を受けました

ライター:歯科処置を受けることにして、本当によかったです!
でも、ちゃんとデンタルケアをしないと、アニィのお口が元通りになってしまう……!
それに、歯周病になりやすい犬種や、愛犬の歯周病にどう気付けばいいかも気になります。

そこで次回は、正しいデンタルケアや歯周病になりやすい犬種などについてご紹介いたします!

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