急な気候の変化がカラダに影響します 健康

猫ちゃんも人と一緒。季節の変わり目、猫ちゃんの健康に要注意です。

やっと暑い夏が終わったと思ったら、一気に寒くなりましたよね。人も体調を崩しやすいこの季節、「いつもと調子が違う」猫ちゃんも増えます。夏から秋、冬への季節の変わり目には、猫ちゃんのどんなことに気をつければいいのでしょう? CaFelier院長の小林充子先生に伺いました。

小林充子先生

獣医師、CaFelier(東京都目黒区)院長。麻布大学獣医学部在学中、国立保険医療科学院(旧国立公衆衛生院)のウイルス研究室でSRSV(小型球形ウイルス)の研究を行なう。2002年獣医師免許取得後、動物病院勤務、ASC(アニマルスペシャリストセンター:皮膚科2次診療施設)研修を経て、2010年に目黒区駒場にクリニック・トリミング・ペットホテル・ショップの複合施設であるCaFelierを開業。地域のホームドクターとして統合診療を行う。

この記事の内容をまとめると……

季節の変わり目は体調を崩す猫ちゃんやワンちゃんが多いです

もちろん個体差はありますが、夏から秋、冬への季節の変わり目には「猫ちゃんは泌尿器系、ワンちゃんは消化器系」に何らかの症状が出ることが多い、と実感しています。
具体的には、「夏から秋、冬への季節の変わり目には、猫ちゃんは血尿や頻回尿、膀胱炎など下部尿路疾患が、ワンちゃんは食欲不振、嘔吐、軟便・下痢などの消化器症状が急に増える」と考えています。

特発性膀胱炎になる猫ちゃんが多いです

猫ちゃんがトイレに行く回数が増えて、オシッコしている様子だけどそんなに出ていないというときは、膀胱炎の可能性が高いのですぐに動物病院に相談をしてください。
膀胱炎で多い「特発性膀胱炎」の原因はよくわかっていないのですが、ストレスもひとつの要因だと言われています。

猫ちゃんは熱さに強く、寒さに弱い動物です。あくまでも私見ですが、寒いからあまり動きたくなくて、水を飲むことやオシッコを我慢する子が多いのではと考えています。
猫ちゃんの「寒いからいやだなあ、動きたくないなあ、飲む水が冷たいなあ、トイレまで行くのが嫌だなあ」
などの小さいストレスが積み重なって、突発性膀胱炎の発症に繋がっているのではないでしょうか。

もともと尿路結石をもっている子は特に注意が必要です

マグネシウム由来のストラバイト結晶、カルシウム由来のシュウ酸カルシウム結晶ができやすいと診断されたことがある猫ちゃんの場合は、季節の変わり目に特に注意が必要です。
水を飲む量が少なくなり、オシッコに行くのを我慢する傾向は、オシッコの濃縮を促し結晶が出来やすい状態を作ってしまいます。
たくさん作られた結晶は膀胱壁を傷つけ、膀胱炎がさらにひどくなります。

また、結晶が大きくなると、オシッコのときに痛みを感じますし、尿道内部を傷つけて血尿が出ます。 オシッコをする時、変な声をあげるときはかなり痛みがあると考えられます。季節の変わり目のオシッコには特に注意をしてください。

健康な猫ちゃんのオシッコは1日2~3回です

猫ちゃんが1日4回オシッコをしていたら、膀胱炎かもしれません。すぐに動物病院に相談をしてください。
もっとも、多頭飼いだとどの猫ちゃんのオシッコかわかりにくいかと思います。

まず、繊細で神経質な猫ちゃんは突発性膀胱炎を発症しやすいです。
また、多頭飼いの場合でも、それぞれの猫ちゃんに「トイレのお気に入りの場所」があります。
日頃から、どの猫ちゃんがどのトイレのどのあたりにオシッコをしているかを観察しておきましょう。

さらに、膀胱炎の猫ちゃんは、トイレを我慢できずにトイレ以外の場所でオシッコしてしまうこともあります。
季節の変わり目に、トイレのまわりにぽとん、ぽとんとオシッコのしずくが垂れていたら、飼っている猫ちゃんのうちの誰かが膀胱炎を患っている可能性が高いです。
トイレの様子を注意深く見守ると、オシッコの回数が多くなっている猫ちゃんが特定できると思いますので、すぐに動物病院に相談をしてください。
もちろん、猫ちゃん全員を連れてきていただいてもかまいません。

下部尿路疾患は食事やサプリで日頃からケアできます

膀胱炎や尿路結石などのいわゆる「下部尿路疾患」は、処方食やサプリなどを日頃から取り入れることでコントロールできます。
例えば、トリプトファンという必須アミノ酸には炎症性細胞をおさえる働きがあります。
また、クランベリーには尿のPH値を下げる働きがあります。

シュウ酸カルシウム結晶の場合はPH値を下げすぎてはいけないので、自己判断で処方食やサプリをあげるのは禁物ですが、かかりつけの動物病院に相談した上でうまく取り入れてください。
猫ちゃんは嗜好性が強いので、いろいろなメーカーのものを試して、猫ちゃんに合うものを探してあげるようにしましょう。
下部尿路疾患は、猫ちゃんが一生付き合っていく問題です。かかりつけの動物病院とご相談の上で、猫ちゃんや飼い主様の負担にならない管理方法を見つけていってください。

猫ちゃんの健康記録ノートを付けるのがオススメです

私たち獣医師は、動物病院を訪れてくださった飼い主様に
「今日はどうしましたか?」
「いつからですか?」
「1日何回くらいの頻度で症状が出ますか?」
などと伺います。

もし、猫ちゃんの体調に変化があったら、簡単でいいので日時と状態をメモしておいていただけると、診察のときにとても助かります。また、1冊のノートに体調を記録していくことで
「うちの子、季節の変わり目はこんな感じで体調が悪くなるんだな」
などと見通しが立てられます。
2018年10月24日 午前10時15分 オシッコに血が混じる
といった簡単なメモでいいので、1冊にまとめておくことをオススメします。

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