トッピングより切り替えが効果的な場合も ペットフード

【ペット栄養管理士監修】フードローテーションで選り好みを乗り切る

「フードの食いつきが悪い」「遊ぶように食べる」犬や猫は多いです。そんなときは、トッピングを上手に使って乗り切ることも大切です。今回は、定期的にフードを変えることで選り好みを乗り切る「フードローテーション」の考え方をご紹介します。

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石原美紀子

出版社で雑誌・書籍の編集に携わったのち独立。犬の訓練をドッグトレーニングサロンで学びながら、愛玩動物飼養管理士1級、ペット栄養管理士の資格を取得。著書に「ドッグ・セレクションベスト200」、「室内犬の気持ちがわかる本」(ともに日本文芸社)、「犬からの素敵な贈りもの」(出版社:インフォレスト) など。愛犬はオーストラリアン・ラブラドゥードルとスタンダード・プードル。

フードの食べ方は犬や猫によってまったく違うので、お悩みにならなくても大丈夫です

犬や猫は、フードの食べ方に驚くほどの個体差があります。
どんなフードでも丸呑みするように1分以内に食べきってしまう子もいれば、ひとくちずつ半日かけて食べる子もいます。また、フードボウルからフードをくわえて出して床に並べ、吟味するようにちょっとずつ散らかしながら食べる子もいます。また、フードを切り替えるとなかなか食べなかったり、同じフードをあげ続けると味や香りに飽きて食べなくなってしまったりする犬や猫もいます。
私がフードのあげ方へのアドバイスをさせていただいてきた経験からは、フレンチ・ブルドッグやビーグルなどは丸呑み系、プードルやマルチーズなどは長々食べたり飽きてしまったりする子が多く、柴犬などの日本犬はフードを切り替えるとなかなか食べない神経質な子が多い印象はあります。また、猫は猫種ではなく、その子の性格による印象です。
多頭飼いをすると、「ほかの犬や猫にとられる」という気持ちからか、フードをあげてもなかなか食べなかった子がすぐに食べるようになることはあります。ただ、それも一概にはいえません。
よく、「うちの子がフードを食べない、もしくは遊ぶように食べるけれど性格に問題があるのではないか」「フードの選り好みが激しいけれどどんなフードをあげたら食べてくれるのか」というご相談をいただくのですが、健康状態に問題がない限り、どんな犬や猫でもお腹が空いたらフードを食べます。あまり悩まず、「まったく、うちのお姫様(王子様)ったら(笑)」くらいのおおらかな気持ちでいらっしゃったほうがいいかと思います。
ただし、
・まったく食べない状態が2日続く
・どことなく元気がないように見える
・水を半日以上飲んでいない
・オシッコや便の状態がいつもと違う
などの症状がみられたら、必ずかかりつけの獣医師に相談をしてください。
また、「遊ぶように食べることを許すのは、しつけの面でよくないのではないか」というご質問を犬の飼い主様からいただくこともあります。この問題についてはドッグトレーナー様の間でも見解がわかれるところですが、フードをあげて15分しても食べなかったり、フードをフードボウルから出して遊ぶように食べてしまったりする場合は、フードボウルを下げてしまってもかまわないと考えます。ドライフードであれば、1日くらいならそのまま置いておいても問題ありません。
たとえば、朝にドライフードをあげて食べない、もしくは遊び食べをしてしまうような場合はいったんフードボウルを下げて、夕方か夜に下げたフードボウルに入っているフードをまたあげてもかまいません。ただし、犬や猫は空腹状態が続くと胃液を吐いてしまうことがあるので、栄養補給ペーストや栄養飲料などをあげておくとよいでしょう。

犬用の栄養補給ペーストが市販されています。

大豆タンパクや、脂肪酸をエネルギーに変換する際に必須のL-カルニチンも配合されている栄養補給ペーストです。

記載されている1日の給与量の目安を参考にあげるようにしてください。

このように指に取ってなめさせます。

嗜好性は抜群! もっとほしい!とねだられますが、1日の給与量の目安を守るようにしてください。

魚などに多く含まれ、網膜の発育や肝臓のはたらきを助けるというタウリンが2000mg配合されているペット用の栄養飲料です。

こちらも、パッケージに1日に与える量の目安が書いてあります。余ったらコップなどに入れ替えてラップをして冷蔵庫に入れ、なるべく早く飲みきるようにしましょう。

ミルクのような色をしています。

遊び食べをしがちな私の愛犬も、写真が撮れないのではと心配になるほど一瞬で飲み干しました(笑)。嗜好性の高さは折り紙つきです!

選り好みする犬向きのペットフードも市販されています

「犬の選り好み」にお悩みになっている飼い主様には、嗜好性が高いドッグフードをオススメしています。体内で代謝されるときに炎症を抑制する物質が作られたり、認知症のヒトの判断力などの改善が報告されたりしているDHAや、皮膚、被毛や血管などの健康維持に役立つなどの働きがあるオメガ3-6脂肪酸が入っているドッグフードならよりよいでしょう。

選り好みをしがちな犬向けのフードです。

DHAやオメガ3-6、毛や皮膚の健全な発育に欠かせない亜鉛など、豊富なビタミンとミネラル類が配合されています。

小粒でとても食べやすそうです。

あっという間に完食してくれました!

フードへのトッピングは栄養のバランスを考えてカロリーの取りすぎを防いで

「フードにトッピングすると、トッピングなしでは食べなくなってしつけによくないのでは」というご相談もよくいただきます。「トッピングすればフードをおいしそうに完食してくれる」のであれば、さほど問題視しなくていいと私は考えています。
ただ、犬の場合は「なにもかけないフードをあげる」→「犬が食べない」→「飼い主様が根負けしてトッピングしたフードをあげる」ということを繰り返していると、「飼い主様が言うことでも、気に入らないことは受け入れなければいつか根負けする」と学習してしまう可能性があります。トッピングしたフード以外は食べないのなら、最初からフードにトッピングして与えたほうがよいでしょう。
大切なのは、「犬や猫がおいしそうにフードを食べて健康でいてくれること」「運動量に比して摂取カロリーが過剰にならないこと」です。カロリーの取りすぎは肥満に直結しますし、犬や猫の肥満は健康に百害あって一利なしです。パッケージ裏面に書かれている給餌量を参考に、トッピングのカロリー分だけフードを減らして与えれば、肥満になりにくいです。「この子はわがままなのでは」とお悩みになる飼い主様はとても多いのですが、私たち人間だってふりかけご飯が大好きですよね。犬や猫に対しても、「この子はふりかけご飯が好きなのね」と好みのひとつとして受け入れてあげてください。

トッピングに最適のペーストです。

フードにトッピングするときは、裏面のカロリー表記をよく見てカロリーオーバーにならないようにしましょう。

コーンスープのような香りでとてもおいしそうです!

トッピングしてみました。食が細い愛犬がもうおすわりして待っています。

スタンダード・プードルだからか食の選り好みが激しい愛犬ですが、あっという間に完食してくれました!

飽きてしまう子の場合はフードローテーションを試してみて

同じフードを与え続けていると、飽きてしまって食べなくなる性格の犬や猫もいます。これもその子の個性なので、お悩みになることはないと考えます。
そういう性格の子の場合、試していただきたいのが定期的にフードを切り替える「フードローテーション」です。
切り替えるタイミングは1袋ごとでもいいですし、3週間ごと、もしくは犬や猫がフードに飽きるタイミングでもいいです。
ただし、あまり頻繁に切り替えると犬や猫の消化器に負担がかかることがありますので、便などの状態を見ながら少しずつ切り替えるようにしてください。

フードの切り替えは少量ずつからはじめましょう

フードを切り替えるときは、今まで食べていたフードの2割を新しいフードにするところからはじめて、犬や猫の便の状態が柔らかすぎていない場合は徐々に新しいフードの割合を増やしていき、1週間くらいかけて完全に新しいフードに切り替えます。
急にフードを切り替えてしまうと、下痢などの原因になりますので注意してください。

フードを50gあげていたら、今まであげていたフードを40g、新しいフードを10gくらいからはじめて、徐々に増やしてください。

選り好みがまったくない子は同じフードをずっと続けて問題ありません

フードをあげるとすぐに完食し、便の状態にも問題がない犬や猫の場合は、幼犬→成犬→シニアドッグなどライフステージの移行に伴うフードの切り替え以外は、同じフードをずっとあげ続けてかまいません。ライフステージの移行に伴ってフードを切り替えるときは、前述のように少量ずつからはじめてください。

皆様の伴侶動物との生活への一助となれれば幸いです。

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