キャンプなどアウトドアでは特に注意! ノミ取り・ダニ対策

【獣医師監修】ワンちゃんの防虫対策

いよいよ夏が近づき、「犬の蚊対策をしなくては!」とお考えになる飼い主様も多いと思います。とはいえ、ノミは都会だとほぼ1年中見られますし、マダニは春と秋に増えます。そこで今回は、年間を通じて気を付けたい虫とその対策について、小林充子獣医師に伺いました。

小林充子先生

獣医師、CaFelier(東京都目黒区)院長。麻布大学獣医学部在学中、国立保険医療科学院(旧国立公衆衛生院)のウイルス研究室でSRSV(小型球形ウイルス)の研究を行なう。2002年獣医師免許取得後、動物病院勤務、ASC(アニマルスペシャリストセンター:皮膚科2次診療施設)研修を経て、2010年に目黒区駒場にクリニック・トリミング・ペットホテル・ショップの複合施設であるCaFelierを開業。地域のホームドクターとして統合診療を行う。

Index

毛が黒いとノミが見つけにくいので要注意です

(1)冬でもノミは活動しています

基本的にノミは気温が13℃以上になると活発化しますが、真冬も活動しないわけではありません。私は保護猫活動もしていますが、今年の1月に保護した500gの子猫ちゃんにはノミが80匹以上付いていました。湯を張ったタライに子猫ちゃんを入れてひたすら潰しましたが、冬でもこんなにノミが付くのかと驚きました。
屋外で保護した子猫ちゃんにノミが付いていたということは、散歩するワンちゃんもどこからかノミをもらってくる可能性があるということです。日本国内に限って言えばワンちゃんに寄生するノミのほとんどはネコノミで、都市部郊外問わず、全国どこにでも生息しています。「ノミは1年中、どこにでもいる」ことを念頭に置いていただければと思います。
体感ですが、ノミは昔よりもだいぶ増えているような気がしています。当院はトリミングも行っていますが、トリミングの際にノミが見つかって駆虫することもよくあります。
ワンちゃんに付いたノミを駆虫しても、家の中で安住の地を見つけて繁殖していることも考えられますので、かかりつけの動物病院と相談しながら、予防薬などでノミが付かないようにケアしましょう。

(2)最近のノミは跳ばずに走ります

「ノミは跳ぶ」というイメージがありますが、最近のノミは跳ばずに素早く走ります。見つけて潰そうとすると、毛の中に猛烈なスピードで逃げ込んでしまうのです。特に、毛が黒いワンちゃんだとノミが見つけにくいので、「ノミ・ダニ・蚊は暖かくなると活発化 ワンちゃん&猫ちゃんの害虫対策」でご紹介させていただいたように、ペットシーツの上にワンちゃんをおいて、腰の部分の毛を逆立てるようになでたり、ブラッシングをしたりして見つけてください。ノミはワンちゃんのお気に入りの場所に居着いていることも多いので、ワンちゃんのベッドなども注意して見てください。
ノミを発見した場合はまずノミの予防薬を使って駆虫しましょう。それが最も有効な方法です。また、駆除はワンちゃん用のシャンプーで時間をかけて丁寧に洗うことでノミが窒息死します。もし、唇や鼻など顔面にくっついて離れないノミはクレンジングオイルを使って落とすなどのテクニックが必要です。また、家の中に逃げ込んでしまうとそこで繁殖してしまう可能性が高いので、電話でトリミングサロンやかかりつけの動物病院と相談した上で連れて行き、駆虫してもらうのが無難でしょう。
ノミが付いているワンちゃんを動物病院などに連れて行った場合、洋服にノミが付いてしまう場合もあります。私は、動物病院でノミやマダニを駆虫した後帰宅するときは、玄関で洋服を全部脱いでゴミ袋に入れ、その後すぐに洗濯機に洋服を入れて洗濯しつつ、お風呂に入るようにしています。

マダニはキャンプなどのアウトドアレジャーで付けてくる犬が多いです

(1)マダニはSFTSを媒介します

SFTSを人に媒介する可能性が高いマダニは、特に注意が必要です。SFTSについては、「草むらにはマダニがいます! ペットから人へ、虫や寄生虫が引き起こす病気」を参考にしてください。

(2)顔を草むらに突っ込んでマダニを付ける犬が多いです

連休明けなどは、「犬のまぶたのフチにイボみたいなホクロみたいなのができたのですが……」と来院される飼い主様がいらっしゃいます。そのイボやホクロに見えるものは実はマダニで、連休中のレジャーで付いてしまったというケースがほとんどです。
犬は草むらなどに顔を突っ込むことが多く、マダニは一度接着するとあまり犬の体表を移動しないので、犬の鼻や目の周りなどの顔周りで発見されることがよくあります。また、腰回り、お腹などに食いつくことも多いです。
アウトドアレジャーの後、ワンちゃんの体に「見たことがないホクロがあるな」と思ったら決して引っ張らず、すぐに動物病院に相談をしてください。
幸いにも、マダニは家の中で繁殖することはほぼありません。動物病院で駆虫すれば安心です。マダニの予防については、かかりつけの動物病院と相談してください。

夏のアウトドアレジャーでは蚊にも注意しましょう

(1)全国で約1600頭の犬がフィラリアに感染しています

予防薬の投与が一般的になり、フィラリアにかかる犬の数は昔と比べて明らかに減ってはいますが、それでも全国で約1600頭の犬がフィラリアに感染しています(2017年調べ)。フィラリアの感染のメカニズムや予防方法については「草むらにはマダニがいます! ペットから人へ、虫や寄生虫が引き起こす病気」を参考にしてください。
フィラリアの予防薬は蚊が出始めた1カ月後~蚊が出なくなった1カ月後まで飲むことが基本です。地域によって投与期間に差があるので、かかりつけの動物病院と相談をしてください。

(2)アウトドアレジャーでは人も犬も虫除けが肝心です

キャンプなどでは、人は長袖・長ズボンと虫除けスプレーなどで蚊除けをしますよね。ワンちゃんも、予防薬などでしっかり虫除けをすることが大切です。
ホームセンターなどでも虫除けグッズが販売されていますので、かかりつけの動物病院と相談した上でうまく取り入れてみてください。

ー おすすめ記事 ー