ワンちゃんに教える最もポピュラーな芸(トリック)といえば「お手」。
「手」、つまり前脚を人に自由に触らせることができれば、トリミングやボディケアもぐっとやりやすくなります。
飼い主様とワンちゃんで、楽しみながらトリックにチャレンジしてみましょう。
今回は、「お手」「スピンターン」「ハイタッチ」の教え方をご紹介します。
DOGLY校長。20年以上のキャリアをもち、飼い主様とワンちゃんが楽しく暮らし、地域の一員となれるよう日々尽力する。犬雑誌のしつけ特集に協力するだけではなく、ドッグトレーナー物語「愛犬しつけ教室プラスわん!」(小学館)監修や、ワンちゃんが出演するテレビ番組の監修などを幅広く手がける。東京都動物愛護推進員、台東区保健所子犬のしつけ教室講師を務めるなど、動物の愛護と適正飼養の普及啓発にも力を入れている。
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ワンちゃんの預かり&しつけサービス「ワンちゃんの幼稚園」をはじめ、しつけ教室やトリミング、出張しつけコースなどワンちゃんに関する総合サービスを提供する。
トリックがうまくできたときにおやつをあげたり、「いいこ!」とボディタッチをしたりして褒めてあげるのは、ワンちゃんとのとても良いコミュニケーションになります。
家族以外の人が苦手なワンちゃんとお散歩していて、小さなお子さんが「ワンちゃんに触ってもいいですか?」と声をかけてきてくれることがありますよね。 なにか事故があったらいけないと、「この子、よその人が苦手なの、ごめんね」と断っても、もちろんいいですし、本来はまったく気にする必要はありません。
ただ、このとき、ワンちゃんが何個かトリックを覚えていたら、それを披露することで子どもを笑顔にしてあげることができます。
飼い主様も、子どももハッピーになれますし、自分が見せたトリックで人を笑顔にできたワンちゃんは、もっと幸せな気持ちになれるでしょう。
トリックを練習して成功し、何度も褒められるようになると、そのトリックをするだけでワンちゃんは喜ぶようになります。
「お手」「スピンターン」「ハイタッチ」と、飼い主様がコマンド(指示)をするのを楽しみに待つようになります。
こうなると、おやつなどがなくても、ワンちゃんにとっては「コマンドを聞いて行動する」こと自体がご褒美になります。
このように、たくさん行動して報酬をもらうことで、その行動自体が好きになることを、行動学の世界では二次性強化子(にじせいきょうかし)といいます。
一次性強化子は食欲、睡眠欲などの本能的なもので、二次性強化子はご褒美をもらうことによって強化された学習的な行動です。
ご褒美のおやつは食欲を刺激するものだから一次性強化子、「おすわりをする」「お手をする」などの行動は二次性強化子ということになります。
飼い主様の言うことを聞いてトリックを披露して褒められる、という一連の動きが、ワンちゃんの脳にとてもいい刺激になります。
シニア期のワンちゃんのコミュニケーションにも、トリックは最適といえます。
ご褒美としてあげるおやつは、小型犬なら米粒ひとつくらいの大きさで大丈夫です。おやつひとつをちぎってあげるようにしましょう。写真の大きさを参考にしてください。
人に前脚を差し出して触らせ、褒めてご褒美をもらうことでワンちゃんは前脚に触られること自体を喜ぶようになります。
トリミングなどのボディケアのときも、暴れずにトリマーさんの手を受け入れるようになります。
ワンちゃんの右手側におやつを移動させると、体重が右手側に移動して、左手が勝手に上がります。左手を飼い主様に触らせてくれたら香りをかがせていたおやつをあげて、うんとほめてあげてください。
このような場合は、お手をさせた後におやつをなめさせて「いい子!」と声をかけながら前脚に触る時間を少しずつ伸ばしていきましょう。このとき、ワンちゃんはおすわりをしていても、寝ていてもかまいません。こうすることで、ボディケアなどを喜んでさせてくれるワンちゃんに育ちます。
ショパンは自分の尾を追いかけてぐるぐる回るワンちゃんを見て「子犬のワルツ」を作曲したといいますが、元来、ワンちゃんは回る運動がとても大好きです。
回るだけで気持ちが盛り上がるし、さらに大好きな飼い主様に褒められ、ご褒美のおやつをもらえてうれしさ倍増です。
雨続きでお散歩に行けず、ワンちゃんの気持ちが落ち込んでいるときなどにスピンターンを教えておくと、室内でワンちゃんの気持ちを簡単に盛り上げることができるようになります。
このとき、時計の針があるとすると、手の位置は6時を指していることになります。
何度か繰り返していると、足を引いてスピンターン!とコマンドをかけるだけで回ってくれるようになります。
足を水平に開いて呼び込んでしまうと、ワンチャンが自分から離れてしまって首だけでおやつを追ってしまいます。手がそれ以上届かないので、体が回りきれません。
飼い主様が手を出して「お手」とコマンドをかけてお手をするようになったら、その手をちょっと上に出してみましょう。
ワンちゃんが手にタッチしたら、ほめておやつをあげてください。
これを利用すると、「○○(ワンちゃんのお名前)ちゃん、はーい!」のタイミングで手を出してタッチさせるという「出席を取ります」芸もできるようになり、ご近所様受けがとても良くなります。
少しづつ手を放していくと将来は「バイバイ♪」と手をあげているように見えるようにもなりますよ!