毎日、ワンちゃんを見ることが大事! 健康

7歳からだんだんと老化が始まることも。シニアドッグケア

ワンちゃんの犬種などによっても違いますが、だいたい7歳~9歳の間にシニア期にさしかかると言われています。ワンちゃんはライフステージの変化により、体調が大きく変わることがあります。シニア期にさしかかったワンちゃんのケアについて、小林充子先生に伺いました。

小林充子先生

獣医師、CaFelier(東京都目黒区)院長。麻布大学獣医学部在学中、国立保険医療科学院(旧国立公衆衛生院)のウイルス研究室でSRSV(小型球形ウイルス)の研究を行なう。2002年獣医師免許取得後、動物病院勤務、ASC(アニマルスペシャリストセンター:皮膚科2次診療施設)研修を経て、2010年に目黒区駒場にクリニック・トリミング・ペットホテル・ショップの複合施設であるCaFelierを開業。地域のホームドクターとして統合診療を行う。

この記事の内容をまとめると……

7歳を迎えたらまず、飲水量とオシッコを要チェック

シニア期にさしかかった7歳~9歳のワンちゃんによく見られるのが、水を飲む量とオシッコをする量が増える「多飲多尿」です。
シニア期に急に水を飲む量が増えたり、オシッコの量が増えたりした場合、

など、様々な病気の初期症状である場合もあります。
お水の容器にお水を足してあげるとき、飲んでいるお水の量が急激に増えて容器が空になっていることなどがないか、確認をしてください。
多飲多尿がみられるようなときは、早めにかかりつけの動物病院に相談をしてください。

食べるご飯の量も気をつけて見てください

シニア期にさしかかると、フードの食べが悪くなることもよくあります。
食べ終わるまでに時間がかかったり、食いつきが悪くなったり、フードを残してしまうなどです。
原因としては

が考えられます。

ウェットフードのほうがドライフードよりも嗜好性が高い場合もあるので、ウェットフードに切り替えて様子を見るのもいいでしょう。
また、口臭などがある場合は、歯周病の可能性がありますので、かかりつけの動物病院に相談をしてください。

体調の変化、例えば腎不全の場合、病態が進むと食欲ががくんと落ちて、美味しいものを少量しか食べなくなる傾向があります。
食欲減退や食の好みの変化が気になるようなら、早めにかかりつけの動物病院に相談をしてください。

食欲と体格の変化にも気を配りましょう

同じフードを同じように食べさせていたのに太り始めた、という場合は、クッシング症候群や、糖尿病などの病気が隠れている場合もあります。
これらの病気はホルモンバランスが崩れて代謝が悪くなるので、最初にどん!と太ります。
もちろん、加齢により代謝が落ちて、太り始める場合もあります。
反対に、いつもと同じ量を食べているのに痩せてくる場合は、腸が栄養を吸収していないか、吸収していてもどこか別の場所で栄養を使ってしまっていることが考えられます。

などの病気が隠れている場合もありますので、太る・痩せる、いずれの場合も気になるようでしたら早めにかかりつけの動物病院に相談をしてください。

ウンチもしっかりと見てください

便は色々なことを教えてくれます。便の量、形、色、臭い、などよく観察して下さい。
例えば、便の形が細くなった場合、腸管やお腹の中に何かができていたり、また去勢していない男の子の場合は前立腺に問題があったりする可能性があります。
フードやおやつを変えると便の色が変わりますが、黒っぽい色というのは注意が必要です。小腸内のどこかで出血している可能性があります。
また、普通の便→軟便→下痢→普通の便のように、便の状態が安定していない場合も注意が必要です。
原因としては

などのようなことが考えられます。
普段からよく便を観察し、異常が見られたら、必ずかかりつけの動物病院に相談をしてください。

階段の上り下りやソファへの飛び乗りに注目してください

階段を登る速度が遅くなったり、今までさっとソファに飛び乗っていたのに乗るのを失敗したり、降りるのをためらったりするような場合は、

ことなどが原因として考えられます。
加齢によって軟骨そのものが石灰化して硬くなったり、軟骨成分がすり減ることで、違和感や痛みを起こしたりします。
いずれの場合も早期発見が大切なので、早めにかかりつけの動物病院に相談をしましょう。

「咳」にも要注意です

朝方やお昼寝の後など安静の状態からぱっと起き上がった時、またはすごく興奮した後など、ワンちゃんが、からんだ痰を出すときのような「カァーッ!」という咳をしたときは、呼吸器だけでなく心臓に問題がある場合もあります。
シニア期のワンちゃんがかかりやすい代表的な心臓の病気に、僧帽弁閉鎖不全症があります。
僧房弁閉鎖不全症は、左心房と左心室を隔てている僧房弁が、もろくなったり厚くなったりすることできちんと閉まらなくなり、血液が左心室から左心房に逆流を起こす病気です。

僧帽弁閉鎖不全症にかかりやすい犬種として、キャバリア、マルチーズ、チワワ、シー・ズー、ポメラニアンなどが挙げられます。
12歳での罹患率はシー・ズー、ポメラニアンで30%以上、チワワで40%、マルチーズで50%、キャバリアでは60%を超えます(JASMINEどうぶつ循環器病センター調べ)。
ワンちゃんが上記のような好発犬種の場合は、特に気を付けて、咳が見られるときは早めにかかりつけの動物病院に相談をしましょう。

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